インターンシップのすゝめ

もしも貴方が大学生で、今何もすることがないのであればインターンシップに行くことをおすすめしたい。その理由を説明していこうと思う。インターンシップにはメリットこそあれ、デメリットはほとんどないと考えているのだが、しかしメリット・デメリットに分けて解説してみよう。
また、その前にインターンシップって本当に行ってもよいの? と思っている人の心配を解きほぐしておく。

 

インターンシップに行くことで企業に迷惑がかかるのでは?

例えば貴方が学部生だとしたら、インターンシップに参加したとしても、ほとんど実践的な技能は持っていないかもしれない。修士や研究室に配属された学生ならともかくただ座学や結果の解っている実験だけを行ってきた学生が本当にインターンシップ、企業の一員として働いてもよいのだろうか? 邪魔ではないだろうか? と考えるかもしれない。というのも、筆者は実際にそう考えていたのだ。わずか数週間の内に業務を覚え、即戦力としてついていける人材のみがインターンシップに参加できるのだ、と考えていた。
しかしそれは全く違う。
インターンシップの内容は例えばホームページに書かれているもので「エンジンの開発」「新事業の企画」など様々だ。しかしこれはあくまでただの「課題」に過ぎない。教師が学生に与える課題と同じだ。
インターンシップの目的とは以下でも述べるが「企業が学生に利益を出してもらう」ことではない。実際にインターンシップ生が行うことは「企業が出した宿題に学生がどう応えるかを見る」これだけである。その課題が失敗に終わろうが成功に終わろうが企業側は痛くも痒くもないのだ。
だから「企業に申し訳ない」という気持ちというよりはむしろ「課題を上手にこなして評価してもらう」という前向きな気持で参加してほしい。

インターンシップの目的

そもそも企業は何のためにインターンシップを行うのだろうか。あるインターンシップでは交通費、宿泊費、また賃金まで払われるインターンシップも存在している。
もちろん企業側がここまでするのには理由がある。
それは概ね「自分の企業を知ってほしいから」と言う理由と「優秀な学生を集めるため」という理由である。
「当社のインターンシップは採用活動に関係がありません」とインターンシップ募集のページに書かれていることがあるかもしれない。しかし断言するがそんなことはほぼ百パーセントない。採用活動とインターンシップには密接な関係がある。

インターンシップに行くメリット

企業の人にアピールできる。

前述の通リ企業側は優秀な学生を採るためにインターンシップを開催している。そういうわけでインターンシップに参加し、そこで良い結果を残せば選考過程を有利にすすめることが出来る。
とある企業では「インターンシップに参加した人用の採用枠」まで用意されていると聞いたことがある。そういう人は選考過程をスキップできるというシステムだ。これを利用しない手はないだろう。

企業のことを知ることができる。

これには二つの効果がある。
1つは企業の内情を知ることで自分が希望する職場の雰囲気を見定めることができるという効果である。インターンシップに参加したのは良いものの社員の人の顔色が良くない、残業が多い、怒声が響いている、などと言った職場には就職したくはないだろう。
就職活動では企業が学生を選ぶ側であるが、一方で学生にも選ぶ権利はある。
誤ってブラック企業に入って人生の貴重な時間をムダにしないためにも企業研究は慎重に行うべきだろう。
2つ目の効果は、面接の際の志望動機をより詳しく語ることが出来る、というものである。
「私が御社を志望するのはインターンシップで御社の雰囲気を肌で感じ、それに共感したからです。具体的には……」と言った志望動機はインターネットで得た情報や、説明会で得た情報よりも遥かに具体的だし企業の人もハッとすることが多いだろう。このように志望動機をはっきりと言えるという意味でも「インターンシップが採用活動に関係がない」ということは絶対にないと言い切れる。

面接などの対策になる。

インターンシップは申し込むだけで参加できるものではなく、多くの場合、それが人気の企業であればあるほど選考が存在する。それは書類選考から始まり、面接なども含まれる。これはほとんど実際の就職活動を同じなのだ。また、ただの模擬面接などと違いそこには「合格」「不合格」という壁が実際に存在する。いわば企業の人事が実践してくれるこの上なくリアリティのある面談練習なのである。
インターンシップに参加しない普通の就活生はわずか数ヶ月の内に面接の練習を始めるわけだが、その生徒と違いインターンシップに参加する

何度でもチャレンジできる。

同じ企業に何度もチャレンジできる、という意味ではない。インターンシップはもしも仮に落ちたとしても別の会社にチャレンジしてもいいし、1社受かったらといって別の会社に行ってはいけないというわけではない。世の中にはいくらでもインターンを募集している会社がある。
例えば1つ目の会社で悪い成績を残してしまった、その会社は第一志望だったのに……ということはあるかもしれない(滅多にないと思うが)、そうした場合でも、ちょっとでも興味があれば別の会社にチャレンジして自分の実力を高めることが出来るのだ。逆に言えば本命の会社は後のスケジュールにしてそれ以外の会社でインターンシップというものがどういうものかを確かめてみる、という手もあるだろう。

インターンシップに行くデメリット

デメリットは筆者はあまり思いつかないが、以下の二点があげられる。デメリットに関しては文章量が少ないことから分かる通りあまりすすんで書こうとは思わない。実際筆者は「ない」と考えているからだ。

時間がかかる。

インターンシップに参加することで数週間の時間がとられる。社会人に成ればまとまった休みをとることはもう二度と出来ないので、これはデメリットとなるかもしれない。休みの期間を使って何かを成し遂げたい、あるいは、ひたすらダラダラしたい、という人にはデメリットとなるだろう。

悪評価をくだされた場合入社できる可能性が下がる。

これは本当にごくごく少数だが存在した。インターンシップに選ばれるのがゴールではない。インターンシップに選ばれてからが真のスタートである。社員の方は常々インターン生のことを見ている。インターンで選ばれたからもう大丈夫、などと力を抜いていたら容赦なく減点を喰らうだろう。
その数週間だけでも良いから「積極的な自分」を演じてみよう。また他の参加者の中に「こいつすごいな」という人がいたらその人のモノマネをして自分も「すごい人」のふりをしてみる。そうすれば気がついた時には就職活動で選ばれる人材になっているはずだ。

1日インターンシップは説明会である。

以上で説明したのは1週間以上の長期のインターンシップの場合である。もしも貴方が1日インターンシップへの参加を望んでいるのなら、そのインターンシップはほぼ説明会であると思ったほうが良い。説明会も経団連で開催可能な時期が決まっているため「インターンシップ」と称して説明会を行う、そんな企業は多い。
しかしただ説明を聞いたり、工場を見学するだけでも交通費も出て、しかもそれだけその企業に興味があるということで名前を売るチャンスとなるのは間違いない。

総括


筆者はインターンシップを非常に楽しく過ごせたのでまるでインターンシップ賛歌のような記事になってしまった。バランスを取るために最後はインターンシップのデメリットで締めたい(そうすると何を言いたい記事なのか訳がわからなくなるがバランスというのは重要であると考えている)
筆者の知り合いで学生時代二週間のインターンシップに参加した人がいたがその人は社員の担当者の方との相性が良くなく、よい指導を受けることが出来ず、ただひたすらぼーっとデスクに突っ伏すだけの時間を送ったのだという。一応課題も与えられたが、面白い課題ではなく、すぐに出来上がってしまい、暇な時間を過ごした、という話を聞いた。
これは極端な例だが、多くのインターンシップが存在する以上そのような事例も発生する(もっとも企業としては明らかにマイナスなので滅多にそのようなことはないと思うが)。
この記事がインターンシップを受けるか迷っている人の参考になれば幸いである。